こんにちは、ゆるカピ(@yurucapi_san)です。
こんな人のための記事です。
これから就職活動を始めるにあたって、担当する物件の規模の大小は非常に重要な意味を持っています。
というのも物件の規模によって、
- 仕事の進め方が変わる
- 自分自身が学んで経験できる量が異なる
- 仕事内容の向き不向きがある
という要素があるからです。
私自身これまで200㎡以下の小さな物件、数千㎡の大きな物件の両方を経験してきました。
大手の設計事務所に就職して大きな仕事を担当したいと思って就職したものの、仕事内容が合わなくて辞めていく人は少なくありません。
小さな物件だからいいとか、大きな物件だからいいというものではありませんが、やはり仕事の向き不向きはあると思います。
今回の記事は以下の内容をテーマにしています。
これから構造系で設計事務所の就職を考えている人の参考になれば幸いです。
大規模物件を担当するメリット・デメリット
一般的に大規模物件はプロジェクトチームを組んで仕事をすることが多く、若手のうちはタスク型の仕事をこなしていく場合がほとんどです。
大規模物件のメリット
メリットとしては、
- 個人1人あたりの物件の負担を減らせる
- 複数の先輩社員に面倒を見てもらえる可能性が高い
- 報道されたり新建築に載ったりするので、モチベーションが高まる
が挙げられます。
大きな仕事をしたいという意欲的な学生は一定数います。
若手を指導する側としても負担が少なくて済むため、新卒でいきなり大規模開発の担当を任せる設計事務所も少なくありません。
それぞれの利害が一致しているわけだね。
大規模物件のデメリット
一方でデメリットとしては、
- 物件が完成まで関わることはほとんどない
- 任される仕事内容が変わることがある
- プロジェクトの進行によっては振り回されやすい
が挙げられます。
都市開発にも付随するレベルの大規模物件だと完成まで5年、10年はかかります。
変化の激しい今の時代、5年、10年かけないと実績にならないというのは大きなデメリットといえます。
また、人の入れ替わりが激しく当初担当していたものと異なる担当に鞍替えさせられることもよくあります。自分がどんなことをやりたいかよりも、チームにどのように貢献できるかが重要視されます。
プロジェクトそのものに振り回されやすいというデメリットもあります。
さまざまな利害関係者が関わっているため、設計が思うように進まなかったり途中でポシャったりすることも十分考えられます。
相応にストレスが溜まりやすいかも。
小規模物件を担当するメリット・デメリット
小規模物件は住宅〜小規模公共施設くらいの規模感を想定しています。
構造の話でいうと、構造計算ルート1相当まで、一貫計算メインで完結する物件をイメージしています。
小規模物件のメリット
小規模物件を担当する場合、以下のメリットがあります。
- 設計を通しで経験できることが多い
- 数をこなして早期に実力アップできる
- 1人でマイペースにコツコツ進めることができる
最短1年くらいで基本設計・実施設計を担当できて学びが深いというのが、小規模物件の大きな魅力です。
スケジュールの自己管理さえできれば、ある程度自分のペースで設計を進められるので、テレワークや時短勤務などの柔軟な働き方に適しています。
自由な働き方をしたいと考えている人は、小規模物件をメインに扱っている設計事務所で働いたり、独立開業して小規模物件の仕事をするのがおすすめです。
小規模物件のデメリット
一方でデメリットもあります。
- 数をこなすと飽きてくる
- ある程度いくと成長しづらい
- 名建築家にならない限り目立たない
仕事に慣れてくると次第にルーチンワークになってマンネリ化していきます。
これは大規模物件でもいえることなのですが、小規模物件の場合設計期間が短いので早期に飽きてしまう可能性があります。
飽きないようにするには常に変化をつけていく必要があるでしょう。
具体的には、
- 担当する物件の規模を拡大させてみる
- 設計者から教える側に回る
- 現場から一歩引いてコンサル業を始める
などが考えられます。
成長できるかどうかは工夫次第かな。
可能なら小規模物件から始めるのがおすすめ
以上、大規模・小規模双方のメリット、デメリットをまとめてみましたが、個人的には小規模物件から始めるのがおすすめです。
- 短期間で小さな成功体験を積み重ねていくことができる
- 試行錯誤しながらたくさん実験できる
というのが主な理由です。
設計の仕事って、正直言ってきつくてしんどいんですよね。
しんどいからこそ、なるべく短期間のうちに設計してモノができあがるまでの一連の流れを知ってほしいし、設計の楽しさを感じてほしい。
そう考えると、設計未経験者であればまずは小規模物件をひととおりやってみるのがベストかなと思います。
大規模物件やりたくて始めたけど、関係者の人間関係に嫌気が差してきてやる気がでない。建築やめたくなってきた...。
せっかく大規模物件に関われるほどの大きな設計事務所に就職したのに、建築物の完成を待たずして辞めてしまうのはもったいない気はします。
可能であれば最初は小規模物件の仕事をこなして、設計の仕事の全体像を理解できるように取り組んでみましょう。
余談ですが、小規模物件の仕事はたくさん実験できるよ、という話は学生の頃に読んだ「現代建築愚作論」を元に書いています。
古い本ですが建築家の藤村龍至氏が寄稿文を書いて一時期話題になりました。まだ読んでないという人はこの機会に読んでみてはいかがでしょうか。
担当物件を選べない?まずは挑戦することから始めよう
ここまでまとめてきて、小規模物件がおすすめだと結論づけましたが、現実問題としてサラリーマンである以上、担当物件は選べません。
小さな設計事務所だとそもそも小規模物件しか選択肢がありませんし、大手の設計事務所に就職した場合は本人の意志とは無関係にいきなり大規模物件の担当を任されることだって起こり得ます。
じゃあ、どうしたらいいの?
と思うかもしれません。
そんな時はまずはやってみるのをおすすめします。
やってみて、自分に合ってなさそうだなと感じたら、小規模物件の担当への異動を願い出れば大丈夫です。
大規模物件の仕事が大変なのは経験者であれば誰もが理解しています。
会社にとっても、設計者が体調を崩してしまったり辞めてしまったりするのは損失が大きすぎるので、異動への理解は示してくれると思います。
大規模物件であれ、小規模物件であれ、なにかしらの経験になります。
経験の積み重ねがあなたを強くしてくれます。気負わずに挑戦してみましょう。
まとめ
今回の記事のまとめです。
- 大規模物件に向いている人→組織の一員として作業したい人
- 小規模物件に向いている人→1人でコツコツ作業したい人
- 設計未経験者は小規模物件から始めるのがおすすめ
ただし、サラリーマンとして働く以上、基本的に最初に担当する物件の規模は選べません。
物件の規模の大小に関わらず、1つの経験としてとらえることができるかどうか。
就職活動中であれば、あなた自身がやってみたいかどうかを軸に就職先を検討してみてはいかがでしょうか。
大丈夫、人生やり直しはいくらでもできます。
ちょっと違うなと思ったら、立ち止まって考えて、方向転換すればいいだけです。
ともに頑張りましょう。
それでは、また。
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