こんにちは、ゆるカピ(@yurucapi_san)です。
よく本とか構造設計者の対談とか聞いてたら「構造設計には答えがない」という話を聞くんだけど、構造の考え方を養っていくにはどうしたらいいの?
こんな悩みにお答えします。
これは、
- 数学、物理学、解析結果:答えがある
- 構造設計の仕方そのもの:答えがない
という内容でよく語られます。
設計を始めたての頃って、
答えがない=よくわからない
と悩んじゃいますよね。
でも答えがないからといって、好き勝手に自分の思想を振りかざしていいというわけではありません。
今回は実際どのように設計の考えを養っていったらいいかについて簡単にお伝えしたいと思います。
先に結論を言ってしまうと、
情報をたくさん集めていつでも参照できるようにしておく
という内容になります。
え、自分の考えがなくてもいいの?
と疑問に思うかもしれません。
正確には
- ほかの人の考え方を入手する
- 自身の設計に当てはめる
- 自分のものにする
このプロセスを繰り返していくうちに、自然と設計の考え方が身についていくというお話です。
3ステップのうち最初の一歩が踏み出せたらあとは淡々と作業をこなしていくだけ。
そこで本記事では最も重要な「ほかの人の考え方を入手する方法」についてまとめています。
前置きが長くなりましたので、早速始めていきます。
そもそもなぜ設計の考えが必要なのか?
なぜ設計に考え方が必要なのでしょうか?
理由は、ほかの人とコミュニケーションをとる必要があるからです。
当たり前ですが、建築物は無生物なので直接コミュニケーションがとれません。
コミュニケーションは設計図書(図面、構造計算書など)を通してクライアントをはじめ関係者に行う必要があるわけです。
5W2Hに当てはめてまとめてみる
実際に設計する際に考えないといけないことを5W2Hにしてまとめてみました。
- 作る目的はなにか(WHY)
- なにを作るか(WHAT)
- 利用者は誰か(WHO)
- どこに作るか(WHERE)
- いつまで使うか(WHEN)
- いくらの予算で作るか(HOW MUCH)
- どれくらい作るか(HOW MANY)
これらをクライアントをはじめ関係者とコミュニケーションをとって設計に反映させていくイメージです。
建築物の構造種別とクライテリアとかを限られた予算内で考えていく感じかな。
設計した過去の自分への説明のためにも必要
一般的には、クライアントや審査機関の担当者への説明のために設計の考えの整理を行います。
しかし実際には、建築物の設計の責任は設計者自らがとらないといけません。
設計した過去の自分自身のためにまとめておいたほうが後々苦労せずに済みます。
1年も経てば残念ながら、過去に設計した建築物の細かいところは大抵は忘れてしまっています。
後々トラブルになった時にうまく対処できるようにしておくためにも、未来のあなた自身が納得できる内容のものを残しておきましょう。
業務で忙しくてもここはしっかりおさえておきたいね。
ほかの人の考え方を入手する方法3選
あなたがこれからどんな設計を目指していったらいいかの設計の方向性は、ほかの人の考え方から学ぶことができます。
いわゆる先人たちの知恵ってやつです。
入手する方法は以下のとおり。
なんだ、ごく普通のことじゃないか。
当たり前のことをしっかりやるのって、案外大変だったりするよ。
闇雲に本やネット、人を使っていても、作業が進まず時間だけが過ぎてしまいます。
それぞれ特徴をおさえてながら使い分けるのがいいでしょう。
本で調べる
本の特徴は以下のとおりです。
※建築系の専門書は今のところ紙媒体が中心なので、電子書籍ならではのメリットは除外しています。
おすすめの調べる順番は次のとおり。
- 構造関係技術基準解説書(黄色本)
- 日本建築学会の規準、指針
- 一般の建築専門書
確認審査機関の担当者も上記の1.と2.を優先して審査基準の判断材料にすることが多いです。
1.は建築基準法の構造関係規定に対する解説書だから最低限おさえておきたいね。
基本は1.と2.で設計の方針を決めて、わからないところは3.も確認する感じで進めてみましょう。
ネットで調べる
定番ですがインターネット検索も調べ物にはおすすめです。
その特徴はなんといっても情報の新鮮さとスピード感。
素早く最新の情報を入手したいなら、積極的にググりましょう。
検索エンジンはGoogleじゃなくてもいいけどね。
構造関係の情報を知りたいのであれば、
などが特におすすめです。
1.のICBAのQ&Aサイトの情報は実質的に黄色本と同等の扱いを受けています。
見たことがない人は必ず目を通しておいてください。
2.の判定事例集については、大阪府や福岡県などの審査機関も公開しているので合わせて確認してみるといいでしょう。
個人ブログのリンクは貼らないんだね。
まあ、一般ユーザー目線で優先度低いからね〜。仕方ないね...。
私自身も含め、リンクがもらえるような有益なものを作っていきたいものですね。
人に聞く
なんだかんだ言って、自分が知りたい分野に詳しい人に直接相談するのが一番早かったりします。
そこそこ実務経験がある構造設計者でも経験している分野はバラバラ。
例えば鉄骨造に詳しいけどRC造はちょっと、という人もいれば逆の人もいたりします。
調べても解決しないなら、その道のプロに相談するのがベストです。
餅は餅屋って言うもんね。
相談相手とうまくコンタクトがとれたら、
- 構造計算の進め方、方針
- 設計で気をつけるポイント
あたりのアドバイスを聞くといいでしょう。
ひとつ注意点があるよ!
それは相談相手に敬意を払うことです。
忙しい合間にわざわざ時間を割いてあなたにアドバイスをしてくれるわけです。
相談する前に30分くらいは本やインターネットなどで調べる癖をつけておきましょう。
一度調べておくと、
- 自分が疑問に感じていることの確認
- 自分なりに考えた設計の方向性
を事前に組み立てることができて相談相手の負担もぐっと下がります。
ちょっとできてないな、という人は意識的に取り入れてみましょう。
最初は相談しづらいかもしれないけど、繰り返していくうちに慣れてきて質問力が身についていくよ。
自己投資は惜しまない
設計事務所やゼネコンなどのなかには、若手の教育や研修として構造設計に関する講習会や書籍購入の補助をしてくれるところがあります。
個人的には会社からの補助がないから参加しない、書籍を購入しないというのはちょっともったいないなと感じます。
今の時代、インターネットをくまなく探せば無料で有益な情報は手に入ります。
しかし、業務で忙しいなかで労力をかけてやるのは正直言って時間がもったいないです。
効率よく学んでいこうとするなら、ある程度の自己投資は必要ではないでしょうか。
最後に私自身が購入してよかった本の紹介をして終わりたいと思います。
購入してよかった本
私自身が独学で学ぶにあたって、購入してよかったものをまとめておきます。
黄色本は税込価格8,800円と高いうえにめちゃくちゃ分厚い本です。
こんな分厚い本めまいがしちゃう・・・。
たぶん最初は読みづらいと感じると思います。
全部一気に読むのではなくて、今必要なところ数ページ分だけを読む感じでいいでしょう。
なじみが深い荷重とか地震力のところから読み始めるといいかも。
通常だと一般財団法人建築行政情報センターのサイトから購入できるのですが、昨今の情勢もあって在庫なしになったり復活したりの状態が続いているようです。
定期的にサイトを確認しておくといいかもしれません。
こういう状況が続くと早く電子化してほしいって考えちゃうよね〜。
そのほか、下2冊の本は要領よくまとめられていて構造初学者には特におすすめ。
どちらの本も読んでおいて損はないでしょう。
まとめ
本記事を通して伝えたいことは、
貪欲に調べる習慣を身につけよう
ということ。
学ぶ姿勢を常に持ち設計実務をこなしていけば、自然と構造設計の考え方は身につくはずです。
学びに終わりはありません。
あなた自身だけですべてを学ぶ必要はありませんし、周囲の人などに助けを借りながら仕事を進めていくという考えで大丈夫です。
お互い協力しつつ、ともに学びましょう。
それでは、また。
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