こんにちは、ゆるカピ(@yurucapi_san)です。
今回は今話題になっている製図試験の課題発表について、私自身の感想をまとめておきたいと思います。
7月22日(水)4連休前のタイミングで、試験元から令和2年の製図試験の課題発表がありました。
今年の課題は「高齢者介護施設」でした。
- 大学のセミナーハウス(平成25年)
- 温浴施設のある「道の駅」(平成26年)
- 市街地に建つデイサービス付き高齢者向け集合住宅(平成27年)
- 子ども・子育て支援センター(平成28年)
- 小規模なリゾートホテル(平成29年)
- 健康づくりのためのスポーツ施設(平成30年)
- 美術館の分館(令和元年)
という流れだったので、私の予想としてはそろそろオフィスが来るんじゃないかなと考えていました。私の職場の周りの意見もそんな感じでした。
こうしてみると、課題テーマが偏らないように毎年建物の用途を変えているのがわかるね。
あと、どれも公共性が高いのが特徴的。倉庫とか工場などの生産施設は除外してるイメージ。
しかし、いざ蓋を開けてみると、全然違いました。
まあ、少子高齢化は日本全体の問題ですし、試験元としては高齢者向けの施設の勉強をしっかり取り組んでほしい、という意図なんだと思います。
それにしても、例年に比べて課題のタイトルが地味で固すぎない?
令和元年のタイトルもやや地味ですが、今回に至っては漢字7文字が並んでいるだけで、どんな利用者層を想定しているのか、いまいち絞りきれません。
- うーん、なんでだろう?
- もともとはオフィスの予定だった?
という勝手な妄想が浮かんできたので、今回記事にしてみました。
本記事の構成は、
- 前半:課題テーマにオフィスが選ばれなかったのはなぜか
- 後半:昨今の社会情勢を踏まえた内容は出題されるのか
ちなみに、試験元とは全くつながりはなく、特に前半の内容に関してはすべて想像で書いています。
後半の内容に関しては、オフィスの設計をやっていて最近耳にする内容なので、ひとつの引き出しとして持っておくといいと思います。
【想像】課題テーマにオフィスが選ばれなかった理由
そもそも、課題テーマの候補に上がっていない可能性もありますが、ここではオフィスが選ばれなかった理由を挙げてみたいと思います。
いずれにしても、昨今の社会情勢が起因になっていると考えられます。
ホットな話題になり早急に結論が出せなくなった
緊急事態宣言が発令されて、ここまで在宅勤務やテレワークの話が出てこなければ、
- シェアオフィス
- サテライトオフィス
に地域交流の要素を組み合わせて出題するという選択肢もあったのではないでしょうか。
今は、事業者、コンサルティング会社、大手不動産デベロッパー、オフィスの設計を手掛ける設計事務所によってさまざまな議論がなされている段階で、実建築としてどうしていくかが決まりきっていない状況です。
課題テーマにするには設計の解が分かれる試験になってしまい、合否の判定が難しくなってしまう恐れがあります。
そこで、ある程度具体的な設計手法が確立されるまでは、課題テーマにするのは見送ろうという結論に至ったのではないでしょうか。
議題をまとめる時間の期限が来てしまった
結果として、やや地味なタイトルになってしまった一番の原因はこれなんじゃないかなと想像します。
要求図書についても、「各階平面図については、試験問題中に示す設計条件等において指定します。」と記載されていて、基準階の含みを持たせつつ、試験直前の9月くらいまでアディショナルタイムを作った感があります。
例年なかなか決まらないのに加えて、昨今の社会情勢も重なって議論をまとめる時間が十分に取れずに期限が来てしまったのかもしれません。
受験生には少し酷な話ですが、試験内容の中身や難易度についてはこれから詰めていく、という感じで進めていると考えられます。
設計実務でも、クライアントの要望が時間切れになってフワッとした基本設計にして、実施設計や現場の監理で修正するのはよくある話だし、あながち変な対応ではないと思うかな。
感染対策に関する内容は出題される?
それでは、今回は時勢を反映した内容は出題されないかと言われると、これは出題されてもおかしくはありません。
感染対策は、ソフト面とハード面両方がありますが、建築の空間構成の試験なのでハード面の対策を考えておくといいでしょう。
ゾーニング、動線計画として出題
シンプルにゾーニングと動線計画を工夫することが問われる可能性があります。
具体的には、今病院や人が集まる施設で取り入れられている、
- 個室の確保(上下階の部屋割に注意)
- 出入り口の分離(動線交差しないように入り口と出口を分ける)
が要求されるでしょう。
最近の例だと、都知事選の投票所が出入り口を分けていたね。
また、今まで以上に居住部分の風通しのよさ、日当たりのよさが求められると考えられます。
感染リスクを抑える工夫として計画の要点から出題
続いて計画の要点から出題されるパターンです。
こちらについては、
がキーワードになります。
機械換気に関しては、換気方式の用語の確認、日建設計のWebサイトのコラムで紹介されているワン・ウェイ換気などが参考になります。
光庭やトップライトに関しても、自然換気を促す意味で効果的でしょう。
そのほか、最近は紫外線が効果的だという研究結果が出てきましたが、まだまだ実証段階で設計に落とし込むには信頼性が乏しいため、計画の要点の記述では触れないようにするのが無難です。
あくまで自然換気の話に焦点を当てて記述するのがいいのかも。
まとめ
今年度はオフィスが出題されませんでしたが、今後は感染対策を考慮したかたちで出題されるのではないかと思われます。
また、なにかしらのかたちで今年度でも感染対策にも応用できる内容が盛り込まれる可能性も十分考えられます。
特に、
- 自然換気、機械換気
- 光庭、トップライト
に関しては感染対策を抜きにしても書ける内容です。事前に身構えておけば本番で慌てなくて済みます。
上の2項目に関して、いつでもプランに取り入れて記述もスラスラ書けるようにしておくといいでしょう。
それでは、また。
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